多重心世界 シンフォニックハーツ 上.独声者の少年

第10回スニーカー大賞奨励賞受賞作。
基本的に多重人格に生まれ人格数が多いほど能力があり偉いとされる世界。一つしか人格が無い少年が身分制度の最下級に位置し、差別されていた。ある日、人格の数による階級社会に反抗する組織から接触された少年は、世界に触れることになるお話。
登場人物の多さとそれぞれの登場人物が複数の名前の違う人格を持っていることから、誰が誰だかわからないというか、もうほとんど誰でもいいやという気分になります。主人公だけは人格も一つだし、分かりやすいけど。ものすごく好意的に見れば脇役をぼやけさせることで主人公の特異性を際立たせ、メリハリを付けていると言えなくもない。
ある男性の一人格とある女性の一人格が結婚しても、男性の別の人格は結婚に関わらないような描写があるのだけど、女性の方はどうなるのだろうか。多くのケースでは母親が子育てしているような描写の世界なんだけど、母親に別の人格が現れているときはネグレクトしそうで、そんなどうでもいいところが気になりました。