“探し屋”クロニクル 7/7のイチロと星喰いゾンビーズ

“探し屋”クロニクル 7/7のイチロと星喰いゾンビーズ (ガガガ文庫)

“探し屋”クロニクル 7/7のイチロと星喰いゾンビーズ (ガガガ文庫)

第1回小学館ライトノベル大賞期待賞受賞作。
七重人格のイチロが街で偶然会った少女と、成行きで少女の友達のお見舞いに行ったら原因不明で凶暴化した友達に襲われて星喰いの事件に巻き込まれていく。
全体的な物語の展開については、ちょっとやり過ぎな仕掛けがちゃんと働いて楽しめた。だけど、会話とかは普通なのに情景描写の変な臭さが笑える。たとえば、

本文14頁から
 気がつくと薄暗く黴臭い路地裏にいた。くすんだ壁に明滅するネオンの光がちらついていて、今が夜なのだとわかった。喧騒はすぐ手の届きそうなところにあった。

とか、

本文15頁から
 腕時計を見ると、自分がまだその日の中にいることがわかった。日付が変わるまであと三時間ほど。夜の街に流れる空気には雨の予感が漂っていた。青年は澱んだ空に鼻を鳴らし、そして路地裏を抜けて大通りの喧騒の中に紛れ込んでいった。

とか、本文中の情景描写はみんなこんな感じで、ネタでやっているのかと思ってしまうぐらい。
イチロの七重人格については次巻以降に期待。